「外構工事を考える際に必要な水勾配とは?水たまりを発生させないコツ」

駐車場や玄関、庭などを整備する工事を、主に「外構工事」と言います。
外構工事を考える際にはデザインや設備について注目をしがちですが、実は配慮すべきものが他にもあります。
それは「水勾配」です。水勾配とは傾斜に配慮し、水はけを考慮することを指しています。
立地に遭った勾配に配慮しないと、思わぬところに水たまりが出来てしまうことも。
そこで、今回は外構工事における水勾配についてご紹介します。

【水勾配について詳しく解説】

水勾配とは、水の流れに配慮した傾斜のことです。住宅の外構部分は外に出ている部分ですから、
雨風に晒されることになります。地域によっては積雪にも考慮をする必要があります。傾斜に考慮をせずに施工してしまうと、
雨や雪が溜まってしまい水たまりになってしまうのです。つまり、水はけを考えて施工する、ということです。
ちょっとした水たまりぐらい気にならない、という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、水はけが悪い状態ですと次のようなデメリットがあります。

水はけが悪いとどんなデメリットがある?

外構工事の際に水勾配に配慮をしないと、水はけが悪くなり下記のようなデメリットがあります。

・冬季は凍結しやすく危険
・湿気が溜まりやすくなり、外構部分に汚れやコケが発生する原因に
・夏季には蚊やコバエなどの虫が発生することも
・雨量によっては一面が水浸しになり、なかなか水が引かない

このようなデメリットがあるため、施工の際にはしっかりとした水勾配の計算が必要です。

水勾配の計算方法とは

外構を整備する際に行う水勾配への配慮は、計算によって算出できます。
水平距離、垂直距離を測り、パーセントで勾配を算出します。一般的なご家庭の外構工事では、
駐車場の傾斜が2~3パーセントになるように水勾配の施工を行っています。勾配があると、車を駐車しにくいのでは、
と感じる人もおられますが、2~3パーセント程度ですと体感としても問題はないでしょう。
1・5パーセントで勾配を整えることもあります。パーセントが上がれば上がるほど、
傾斜が大きくなると覚えておきましょう。駐車場や外構の施工は、
新築時に住宅工事も配慮して施工することもおすすめです。住宅、玄関周辺などの整備を合わせることで、
無理のない水勾配が実現できます。水はけを良くするには勾配が大きい方が良いわけではありません。
無理な傾斜は車の出し入れにも負担となります。
この点は予め施工業者に仕上がりの傾斜のイメージを確認しておくと良いでしょう。

【外構工事における水勾配のアイディア】

外構の工事を行う際には「犬走り」をいう整備を行うことがあります。ユニークなネーミングですが、
「犬が走れる程度のスペース」と言うとイメージが出来るのではないでしょうか。
新興住宅地の家と家の間には、よく見られる施工です。
住宅地ですと、隣家との間が狭く、整備をしにくいのですが、犬走りを整えることで自宅や隣家の屋根から落ちてくる雨水や
雪による水害を防止する効果があります。一般的なご家庭向けの施工ではコンクリートを使用することが多いのですが、
砂利による施工もあります。必要な幅を施工することで十分なので、
費用が気になる場合は幅の調整を施工業者と相談するのも良いでしょう。
水勾配とセットで施工をすることで、大切な住宅の水はけがもっと良くなります。

水勾配を施工することが難しいケースの場合

駐車場のような水勾配を取りやすい場所は施工をしやすいのですが、
外構部分によっては水勾配の施工が難しいケースもあります。道路との距離が無い部分などがその代表例です。
急な傾斜は危険なので施工はできません。しかしこのような場合でも、水はけについて意識しないまま施工をしてしまうと、
水たまりに悩まされる可能性があります。 そこで、次のようなアイディアがあります。

①水はけを考慮したコンクリートを使う

コンクリートの素材を意識した施工を行うことで水勾配に代わる水はけへの施工を行うことが出来ます。
この方法ですと、現在水はけが気になる小さな外構部分も、コンクリートの施工をやり直すことで改善します。
傾斜の工事をやり直すことが難しいケースでも対応できるので、
気になる部分にはこうしたコンクリートを使ってみるのも1つの方法でしょう。

②排水したい場所にU字側溝や暗渠を設ける

勾配ではなく水を誘導する方法で水はけをよくする方法もあります。敷地内にU字側溝を設けたり、
暗渠を整備したりすることで水の流れを作ります。特に暗渠の場合には、排水したい場所にまでつなげることができるので、
柔軟性のある排水設備です。暗渠の設置については庭や畑にも大きなメリットがあります。
野菜作りやガーデニングをご自宅で楽しみたい方は、住宅の新築時にこうした設備についても
工事を検討しておくと良いでしょう。ただし、こうした設備も場所によっては設置が難しい場合もあります。
この他にも、敷地内にスリットを設けて水が逃げる場所を作ることも考えられます。高低差を付けられるような
外構工事が難しい場合でも、このように水勾配以外の配慮も可能ですので、施工前に打ち合わせをしておくと良いでしょう。

【水勾配とデザインの関係性とは】

水勾配に配慮はすべきなのですが、どうしても配慮の結果斜めに見えることが気になるケースもあります。
また、水勾配以外にも施工方法がありますが、水はけを優先するとデザイン性が落ちることも気になるものです。
そこで、水勾配や水はけにも配慮した外構工事がおすすめです。人の目には水平に見えるようなタイルの配置、
土間の設計や犬走りを駆使したデザイン、ウッドデッキとのバランスや植栽の配置なども考えられます。
せっかく外構部分はご自宅の顔として、外から見える場所です。デザインも検討しながら工事をすることがおすすめです。
庭や建物の雰囲気にも配慮できる業者選びをしましょう。

【まとめ】

外構工事における意外な盲点として、水勾配を中心とした施工についてご紹介しました。
建築や土木関係の方には馴染み深い分野ですが、初めての方には聞き慣れないお話だったのではないでしょうか。
暮らしを安全に、かつデザインも楽しんだ外構工事のアイディアは、施工業者に任せきってしまうのではなく、
依頼者視点で要望を伝えることも大切です。施工後に後悔をしないように、
しっかりと打ち合わせを重ねて施工に挑みましょう。

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