外構工事は駐車場や庭など、家の外回りの整備が中心ですが、
枡に関しての分野に関しても取り扱っています。
でも、パッと耳にした時に枡がどんなものかわかる方はそう多くありません。
そこで、今回は雨水枡や汚水枡などについて、よくある問題点も踏まえてご紹介します。
外構工事の際のヒントにご活用ください。
外構工事における枡とはどんなもの?
外構工事における枡、とは住宅排水が集まる場所です。
気になる方はご自宅の外に出て、敷地内に蓋の付いた場所が無いかを確認してみましょう。
一般道路にあるマンホールのようなところです。
この枡はまず住宅から出た排水を集め、その後下水に排出されます。
地域によっては浄化槽などへ排出されるところもありますが、枡自体の機能は同じです。
枡は2種類に分けることができます。
雨水枡
雨水枡はうすいます、と読みます。
雨水枡は敷地内に発生する雨水を貯める為の場所です。
雨水桝は構造に種類があり、浸透式と非浸透式があります。
浸透式は雨水を染み込ませて吸収し、排水させる方法です。
一方の非浸透式は排水管へ誘導してから排水します。
なお、雨水の最終処理は自治体ごとに異なっています。
豪雨の場合は一気に各家庭の排水管から雨水が集約されて流れるため、
浸透式での設計を支援する自治体も多いですが、
元々地盤が低いところや山間部は地面に水が多く浸透すると地滑りのリスクが上がります。
そのため住宅の立地によっては非浸透式の方が安全性は高いと言われています。
汚水枡
雨水を貯める雨水枡とは異なり、汚水枡は便器、浴室や台所から排水された水を集約する場所です。
つまり汚水を全て集める場所です。集めた後に自治体の管理する下水道に排出します。
そのため、下水道を管理する自治体ごとに汚水枡の設置に関しては基準が異なっています。
ある自治体を例に紹介すると、
汚水枡の設置は公道にかかる1つの宅地が165平方メートル未満の場合は1か所、
私道にかかる宅地については私道1本につき2か所、もしくは1か所などと規定があります。
住宅の整備の際には必ず設置することになっているので、外構工事で汚水枡を設置することになります。
汚水枡は無断で他者の敷地内に設置してはいけないので、敷地の際に設置する場合には位置を変えるか、
設置を交渉するなどの配慮が必要です。この点はお住まいの地域の規定を一度ご確認いただくと良いでしょう。
実はかなり多い?枡に関するトラブルとは
生活に関する水を無事に排出するためには枡の存在が欠かせません。
しかし、実はトラブルが多いのも事実です。では枡に関してどのようなトラブルが発生しているのでしょうか。
枡に関するトラブルの一覧
①枡が車両で壊れてしまうトラブル
枡の設置場所に関しては先にご紹介のとおり自治体によって異なります。
場合によっては駐車場内に設置されていることもあるのですが、
車両が何度も乗るために枡が壊れてしまうトラブルがあるのです。
この場合、本来は駐車場に枡を設置する場合でも車両が重ならないような位置か、
蓋を強化して設置すべきです。
また、駐車場以外の敷地でも更地の部分に設置し、工事車両が出入りすることによる破損もよくあります。
②枡から排水が流れ出てしまう
枡は雨水・汚水などを貯めている場所ですが、
なんと枡から排水がうまくいかずに地上へ流れ出てしまうトラブルがあります。
特に汚水枡は汚物が流れているので、こうしたトラブルは避けたいものです。
原因として考えられるのは枡に詰まりが生じた、排水管や排水溝が詰まった、などが考えられます。
特に汚水枡の場合は近隣に流れ出てしまうリスクもあるため、早急に修理が必要なトラブルです。
③枡の設置場所が予想外だった
こちらもよくある枡に関するトラブルです。
新築工事の際に雨水枡や汚水枡の設置場所をそもそも聞いておらず、
いつの間にか設置されたというトラブルです。
この場合工事業者は自治体の基準を満たした箇所を予め選定し、工事を行っていますが、
施工主にその旨を事前に伝えていなかったトラブルです。
例えば将来的には駐輪スペースや
物置を設置しようと思っていた場所に枡があったため断念するケースもあるので、
事前にしっかりと枡の設置場所についても打ち合わせを行いましょう。
但し、敷地の設計や自治体の規定上、ご希望に沿った位置に枡が置けない可能性もあります。
④枡の高さが予想外だった
こちらもネット上などでも多く紹介されている枡に関するトラブルです。
枡の設置が思っていたよりも高く設定されており、突出して目立つケースです。
また、高さは目立たなくてもわずかに地面からは出ているため、躓いてしまうというトラブルがあります。
やむを得ず高さが必要な場合も含めて、こちらも設置前に打ち合わせすべきです。
枡に関するトラブルを未然に防ぐコツ
基本的には新築時に設置を行う枡に関しては、
やはりトラブルを未然に防ぐコツとしては「しっかりと打ち合わせをする」ことです。
特に住宅の設計の段階で、予め枡の設置はどこが適正なのかはっきり確認をしておきましょう。
先にも述べましたが、自治体による規定や敷地によってはご希望通りの場所に枡を置けるとは限りません。
しかし、生活排水はご自宅でも管理する必要があります。
どこに、どの程度の高さで設置されるのか把握しておきましょう。
枡って経年劣化するの?
枡に関するよくあるトラブルをご紹介しましたが、枡にはもう1つ知っておくべき「経年劣化」があります。
日々たくさんの水を貯める場所ですから、どうしても長く使っていると経年劣化は起こります。
例えばコンクリートの枡は次第にひびが入ることが多く、ある日突然割れてしまうこともあります。
汚水枡の場合は悪臭が漂ってしまいますので、定期的にメンテナンスで破損を防ぐようにしましょう。
特にひびがある場合にはいずれ破損する可能性が高いので、外構工事のプロにメンテナンスをご依頼ください。
また、枡は定期的な掃除が望ましいものです。
特に自治体によっては枡の掃除が大変な基準を採用していることがあり、個人での掃除が難しい場合があります。
汚物や葉っぱなどが詰まってしまうと大きな排水トラブルになりかねないので、
約5年ほどの単位を目安に外構工事の業者へメンテナンスを依頼すると良いでしょう。
汚物が溢れてしまう前に、しっかりと清掃をすればOKです。
私たちの生活に身近な枡のトラブルを防ごう
この記事では外構工事の範囲となる枡について雨水枡・汚水枡の分野から解説しました。
私たちの生活に欠かせない存在の枡ですが、
意外と注目がなされず、ある日突然の破損に驚くことも少なくありません。
設置時に細かくチェックし、定期的なメンテナンスを行うことでトラブルを防ぎましょう。